腰痛

クライマーに多い腰椎椎間板ヘルニア

ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニア

[概要]

背骨は椎骨という骨が積み木のように積み重なっています。その、積み木と積み木の間には椎間板というクッションが挟まっています。このクッションの中にはクッション剤が入っているのですが、これが外に飛び出したり、飛び出さないまでも内側から盛り上がって、椎間板の外にある足へと伸びる神経を圧迫してしまって、足が痛くなる(坐骨神経痛)ものが「腰椎椎間板ヘルニア」です。

[症状・鑑別]

前屈で足の裏やおしりを伸ばすと足にかけてしびれや痛みが放散する場合、坐骨神経痛の疑いがあります。
「単純に筋肉が固く伸ばせない」というの違います。
通常の腰痛よりも痛みが長く続いてしまうと言うのも見分け方の一つです。

[予後・期間]

ヘルニアは普通の腰痛よりも治るまでに時間がかかります。
期間は数ヶ月から数年、長くてお5年以内には治ります。

しかし、ヘルニアが治っても変形性腰椎症など別の腰の病気に移行することがよくあります。ですから、腰痛は相変わらず治りません。

腰痛持ちはいつまでも腰痛持ちと言うことですね。
ですから腰痛にならない予防と、もしなってしまったらケアが必要です。

[スポーツ復帰の目安]

しばらく激しい動きは中止して、痛みが起きない範囲で体を動かしてください。ウォーキングやサイクリング、水泳など、痛みが出ないか試しながら行ってください。
安静にしすぎると必要な筋力まで低下させてしまいますので、ただ安静にしていればいいと言うことでもありません。
様子を見ながら運動することが、筋力を落とさない秘訣です。

[よくある質問]

「よく坐骨神経痛になった」「坐骨神経痛だと言われた」という話を聞きます。

そこで、「腰椎椎間板ヘルニア」は「坐骨神経痛」という症状を伴います。
「腰椎椎間板ヘルニア」は病名で、「坐骨神経痛」は症状です。
「風邪」が病名で、「せき」が症状です。
「せき」を伴う病気に「結核」や「気管支ぜんそく」があるのと同じように「せき」は風邪以外でも出ます。
それと同じで、「坐骨神経痛」を伴う疾患に、「腰椎分離すべり症」「脊柱管狭窄症」などもありますが、「腰椎椎間板ヘルニア」は若年者に多く、「脊柱管狭窄症」は年配の方に多い疾患ですので、そこが鑑別の目安になります。

 


SLR陽性:SLRとは仰向けに寝て、しびれている側の足を、膝を曲げずに上げていくテストである。

これで、坐骨神経痛の有無をみる。

坐骨神経痛の場合、ももの裏側に症状が出てしまい30度くらいしか上げることができない。

 

 

坐骨神経痛の人はももの裏を伸ばすストレッチはあまり良くない

腰痛にストレッチは有効だが、1つだけやらない方がいいものがある。

それは、坐骨神経痛の人はももの裏側を伸ばしすぎないこと。

やるなら徐々に、無理をせずにやることが肝心だ。無理すると坐骨神経痛を悪化させる。

気をつけてストレッチするように。

 

 

 




外岩にいくはずがぎっくり腰でドタキャン、腰痛対策

初冬。今シーズン最後になるかもしれない外のクライミング。もうそろそろ山スキーかな、あとはドラツーか、アイスクライミングかな、なんて思いながら、Y寺へ。到着したら雪がちらついていた。アプローチを登って岩場につくとうっすら白い。準備して1本登るも、手がかじかんでムーブがおこせない。
早々に退散。
K山に戻ってきて、マルチを1本登る。一時間移動しただけでずいぶん気候が違うものだ。

今回のクライミングは3人の予定だったが、一人がぎっくり腰でドタキャン。私の治療院へ来るようにメールしたが、「今日は全くベッドから起き上がることすら出来ませんでした」と夜にメールが入る。相当悪い。その後彼は、一週間仕事を休むことに。

彼のようにぎっくり腰はクライミングのみならず、日常生活にとっても致命傷となる。ぎっくり腰は全く動けなくなる。私も一年に一回は経験する。

1 “発生機序”

そもそもぎっくり腰は気をつけていても発症する。無理をしていればたいてい腰を痛める。例えるなら、“気をつけていても風邪を引いてしまうようなもの”だ。避けようと思えば、無理をしないこと。しかし、スポーツをやったり、仕事で無理をしていれば、誰にだってぎっくりになる可能性はある。腰にばかり良い生活をしているわけにはいかない。時には無理をする必要も出てくるだろう。
痛めたら、なるべく長引かせないように「経過させる」「やり過ごす」しかない。これがとても大事だ。

人間の体は天気に似ている。晴れの日もあれば雨の日も雪の日もある。雨が降らなくても困る。これでバランスをとっている。
雨が降れば植物が喜ぶのと同じように、ぎっくり腰にも「効用」があり、体にとってプレス面もある。
日常生活をおくっているだけで体は歪む。そのゆがみがひどくなってピークに達するとぎっくり腰になる。ぎっくりになっているときはひどいが、ぎっくり腰が治ると不思議とゆがみもとれている。これが「ぎっくり腰の効用」だ。

2 “対処法、治療法”

まず何より、ぎっくり腰になると言うことは「体が休みなさいよ」とSOSを送っている。そんなときはきちんと体の声に耳を傾けよう。ぎっくり腰になったら最低3日間は休むことだ。体の声を無視して無理を続けると、もっとひどいことになる。ぎっくり腰になってしまったら観念してしっかり休むしかない。これにつきる。

治療法は、第一にアイシング。第二に安静。

では、どうやって安静にするか。それはしっかり固定すること。古典的なやり方だとサラシで固定する。現代風ならコルセット。これをお風呂以外は3日間つけっぱなしにする。他にはテーピングなども併用すると良い。しかし、テーピングは背中から腰にかけて貼るので、どなたかにやってもらう必要があるだろう。自分では出来ない。それから、痛みを誘発する動作は避ける。仕事も休めるなら休んだ方が良い。しかし、安静にしすぎても良くないので、動ける範囲で動いた方が良い。日常生活は普通に送った方が早く治る。これは嘘じゃない。

その他、急性期なら鍼治療。電気鍼が有効だ。3日目くらいからマッサージを開始する。

それから、うつぶせになって上半身だけ腕立ての姿勢でのけぞらせる「マッケンジー体操」が有効だ。背筋の力を使ってのけぞるのでは無い。腕をつっかえ棒のようにして、のけぞった姿勢で脱力すること。これがポイント。うまくいけば「パキッ」という音と共に腰椎のゆがみが矯正され、楽になることがある。どうやらぎっくり腰の原因の1つに、腰が丸まってしまうことがあるようだ。マッケンジー体操で、本来の腰椎のもっている「生理的前弯」を取り戻すことが功を奏す。

3 まとめ

ぎっくり腰になってしまって、とにかく対処法だけ知りたいという方は、以下のことを実行してください。ぎっくり腰の対処法はこれだけです。

・冷やす
・安静にする
・1週間経過させる

 

4 その他の治療法

鍼治療

専門的な治療のため、セルフ家は出来ませんので、写真を掲載します。

写真は、鍼に低周波を通電して、麻酔効果を高めた鍼になっています。ぎっくり腰に有効です。

超音波療法

急性期の捻挫、挫傷に効果的なので、もちろんぎっくり腰にも有効です。

5 予防法

1,ストレッチ

2,コアトレ

 

やはり日頃からの予防が大事です。ストレッチとコアトレを毎日継続して行ってください。トータルで1時間くらい実施できると理想的です。

 

 


 

 




クライマーに「気をつけて欲しいケガ10選」

パキリ

クライマーに気をつけて欲しいケガ10選

 

強くなりたければケガをしないことです。ケガをしている間はどうしても休まざるを得ない。無理をしてケガして、休んで間隔を開けてしまうより、カタツムリの歩みでも少しずつ練習を続けた方が上達する。

 

ケガをしないことが強くなるための秘訣である。

そこで、皆さんに気をつけていただきたい、「クライマーに多いケガ」を紹介する。

 

1,パキリ

浅指屈筋腱損傷。第一関節(DIP)伸展位、第二関節(PIP)屈曲位で力を入れていた際に、強い外力により屈筋・屈筋腱が反対方向に伸ばされて受傷。

(指を曲げようとした時に反対方向に強い力で指が伸ばされて腱が指の骨から剥がれたとき)

例えば

ポケットに指を入れた状態で、足が切れた際に、指が無理矢理伸ばされ負傷。

 

2,膝(半月板損傷)

モモの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の間にあるクッションが半月板。ようは膝の隙間に入っているクッションです。ここがすり減ったり、傷ついて裂けたり、それによって出来た破片が関節の間に挟まったり・・・痛め方にもバリエーションがあります。

 

3,膝(前十字靱帯損傷)

膝が前方にずれないように止めているベルト。着地の時などに切ってしまうことがある。ボルダリングのようにふかふかのマットに着地したときに多い。

 

4,膝(内側側副靱帯損傷)

膝が外反(下腿が外側に持って行かれたとき)されたときに痛めることが多い。膝の内側を止めているベルト。着地の時、キョンをしたときなどいろいろなシチュエーションで痛める。

 

5,腰痛

持病としてもっている方も多い。体感がよれたときなど、疲れが出やすい場所。

 

6,手首痛

ボルダーから落ちたときに手をついて痛める。その他、使いすぎによって手首が痛くなったり、軽いものだと、反復して手掌をついていたりしておこるゆがみからも痛む場合がある。

 

7,足関節捻挫

ボルダーから落ちたときや飛び降りた際に捻って捻挫することが多い。

 

8,落石によるもの

落石に当たって負傷。

 

9,滑落によるもの

滑落によって負傷。転落。

 

10、転落によるもの

転落によって負傷。滑落。

手をついた際に手根骨の骨折(最も多いのが舟状骨骨折)を起こすことがあります。打撲なら2週間くらいで治ります。2週間を過ぎても手根骨が痛かったら骨折を疑って、一度レントゲンを撮ってもらった方がいいです。

 

また、前腕部の手首に近い方を骨折することがあります。「コーレス骨折」や「スミス骨折」です。こちらの場合は、手のひらをついたのに、前腕部が痛かったら骨折が疑われるので、すぐに整形を受診してください。骨折の場合は、痛みも強いのでわかると思います。

 

ケガへの対処

 

ケガをしてしまったら、負傷部位の安静を保ちます。
固定して、安静にするのが基本です。痛みを誘発する動作を控えます。痛めた場所以外はトレーニングしましょう。

例えばパキッた場合、体幹や下半身のトレーニングをします。これは、負傷部位の機能や筋力低下を防ぐためです。そのとき参考にしていただきたいのが下にご紹介する本です。ぜひ購入されて、こちらのメニューを実施してみてください。

 


[コアトレ]

シングルアームブリッジ

サイドブリッジ

ヒップリフトアブダクション

クロスエクステンション

プッシュアップ

ウインドミル

コブラ

10秒 10回 1セット

ストレッチ


パキってしまって登れないときは、上に挙げたトレーニングを行ってください。パキってしまう原因に、体感が弱くて指に負担をかけてしまっていることも挙げられます。体感が強ければへその下(丹田)から体を引き上げることが出来ます。それによって指の負担を軽減することが出来ます。指をケガして、体幹や足使いの重要性を痛感しました。皆さんには私のようにならないようにしていただきたいです。

 

補足

ノーマンズランド(no man’s land)

nomansland

図で赤く示された部分は「ノーマンズランド(no man’s land)」と言われる部分で、もともと血行が悪く、傷口などが治りにくいなどの理由で、腱とその周辺が癒着(くっつく)してしまい、指が完全に曲がらないなどの後遺症を残しやすいところです。手の専門外科でなければ手術も難しい場所なので、「ノーマンズランド(no man’s land)」と言われています。

もともと血行が悪いので、パキったら治りづらいんですね・・・

 

パキってしまった方に合わせて知っていただきたい「ジャージ損傷」「ジャージ指」

 

パキッた方は知っておいた方が良い「ジャージ損傷」「ジャージ指」というものがあります。サッカー、レスリング、ラグビーなどで、ジャージや道着をつかんだ際に急激に伸ばされて屈筋腱が断裂・損傷するケガのことです。発生機序は違いますが、「パキリ」と同じケガです。曲げようとしているのに力で無理矢理伸ばされて腱やその周辺を痛めます。断裂した場合は、観血的(手術)療法が必要となります。そしてこの部分は、上に書きましたが、ノーマンズランド(no man’s land)と言って手術も大変な場所ですし、術後の経過も悪いですし、ケガそのものも治りづらいです・・・